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サルの社会
湖北の山ではサルの群れにも出会ったが、ブナのある自然林を行動域とする数少ない湖北の1群と思われる。今シーズンは餌も豊富らしく、楽しそうな声を聞いた。餌場が分散している自然界ではボスがいないこともあり、わりと自由な行動をしているらしいが、高崎山のサルなどは群れの強さによって餌場に出てくる順番さえ決まっていると聞くから厳しい。
ボスの座を巡る権力争いはしばしば壮絶で、ニュースで見たりもするが、イモを海水で洗って食べることで有名なあの幸島(宮崎県)のサル群では、ボスは老衰しても生きている限りボスであって、死ぬとナンバー2が後継ぎとなる。母系家族で構成され、権力争いがないそうだ。周囲3.5キロの小さな無人島に約100匹が住んでいる世界である。ただ、現在のボスは統率力に欠け、年功序列制の弊害をみるようだという記事を読んだことがある。
人間社会はさらに複雑ではあるが、それはそれ、木の実を集めながら歩く晴天の秋山は楽しい。 |
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掘り起こしたばかりのショウガ
10月末に、掘り起こしたばかりのショウガの大きな株を畑の主からいただいた。みずみずしい淡い黄色の根茎(塊茎)に似合わず、何本も立ち上がった緑濃い茎と基部の赤い色が力強く、ぷっくりと膨らんだ塊茎の先端のピンク色は新鮮さの証明。絵を描きながら観察していくと、茎に見えるのは実際には各々の葉の基部である葉鞘が重なり合った偽茎と呼ばれるものだ。細長く大きい葉を広げている様子も含め、妙にバナナの木と共通点が多くて不思議に思ったが、ヒョンなことから学習の機会が得られた。 |
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バナナとショウガの共通点
赤道直下に近いマレーシアに出かけたのは11月中旬だった。熱帯雨林は緑一色で、ヤシも色々、バショウも道路わきやジャングルに続く自然林に多い。全く偶然ながら掘り起こされたバナナの大きな切り株を発見!
木に見える部分は葉鞘が幾重にも丸く重なり合ってできた偽茎であり、一つの塊茎から次々と若い偽茎が出ている様子はまるででっかいショウガ!
ショウガに似てしかり。バナナはショウガ目バショウ科の多年生草本であり、ショウガもまたショウガ目であって、科はちがうが類縁関係にあったのだ。ショウガの原産地もこの辺りらしく、実際に多種の仲間があってショウガやミョウガに似た大きい葉が下草のように茂っていた。
一株のショウガからこんなに楽しみが広がって大満足でありました。 |
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琵琶湖は大きなビオトープ
帰国すると、紅葉が急に進んでいて、日本の秋の素晴らしさを再発見したものでした。
私たちの住む滋賀県は大きな琵琶湖のまわりを緑の山が囲んでいる地形で、全体が大きなビオトープであるのが嬉しい。何気なく見過ごしている足元の小さな自然や四季の移ろいに関心をもつ感性と不思議発見、そんな中から知的好奇心を満たしてくれる小さな喜びこそが人生を無限に楽しくしてくれる妙薬なのではないでしょうか。 |
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