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第11回 半夏生のころの植物たち    巧みな自己PRと護身術に共生のヒント
 
 
半夏生(はんげしょう)花の存在を伝えるメッセージ

  半夏はカラスビシャク(烏柄杓、サトイモ科)のことで、漢方名。私が遊んでいる手入れの悪い畑では、この時期になると確かに見られる。畑の嫌われ者だが、長い柄をつけたような仏炎苞は野草然としていて私には遊び相手である。
 6月末に山陰に出かけたが、途中、高速道路脇の山の谷合に白い花が咲いてるような光景をよく見かけた。正体はマタタビの葉である。マタタビは蔓性植物で、近くの木に這い上がって覆いかぶさるように茂っており、花が咲くこの時期になると葉が白くなって自己主張する。
花は雨を避けるように下向きに咲くので目立たない。そこで、受粉のために一役買ってもらう虫たちに花の存在を伝えるメッセージとして、一工夫したものと思われる。

このマタタビはネコ科の動物の妙薬であり、事実、大きい雄ネコが小枝1本で幻覚症状を示し、メロメロになる。あるとき、庭のキーウイの根元でネコが口周りを濡らしてゴロゴロしているので不思議に思って調べてみると謎が解けた。キーウイはマタタビの仲間だった。ネコには微量成分が分かるらしい。
 この季節、水辺には半夏生(ドクダミ科)という植物が目につくが、やはり花が咲くこの時期に葉の表面が白くなって涼しげである。花は穂状に咲くが、白い葉が存在を誇示している。葉が部分的に白いので、半化粧ともいう。
 
虫へのPR大作戦

  雨の多い季節に咲く花は、虫の訪問を受ける機会が少ないだろうし、大きい花弁の花は濡れて痛みも早いだろう。では、「花を小さくして葉を花のように見せてPRしよう」、「花を守る工夫をしよう」と考えた花も多いようだ。苞(ほう)はその代表格。
ドクダミのあの白い花に見える部分は苞であり、カラーやブーゲンビリアの花に見える部分もまた苞である。
 
環境変化から身を守る

  アオバナの花の命は短いが、次々と咲く花の蕾は半円形の苞(または苞葉)によって包まれ、強い陽射しと雨という過酷な環境の中でも適度な湿度を保たれ優しく保護されている。
花の季節は異なるが、ハナミズキの花弁に見えるのも苞であり、本当の花は中心部の小さな塊。ミズバショウやザゼンソウの花に見える部分は仏炎苞という苞の一形で、花を覆って守っている。  
こうしてみると、気温が激変する時期や雨の多い季節に花を咲かせる植物たちも、過酷な環境変化に耐えるために無限の進化を遂げてきたのが分かる。
 
相手の意図することを察する

  話変わって。昨今、共生という言葉をよく耳にする。広辞苑によれば、「異種の生物が行動的・生理的な結びつきをもち、一所に生活している状態」とあるが、人間社会に目を向ければ、思想や活動内容の異なるグループ間にも通じる言葉と理解できる。
メッセージを発信する側とそれを受信する側の意思の疎通が大切であることを、私たちは植物と小さな昆虫の世界からも教えられる。この季節に苞をもつ植物が多いのを知ることも、また、相手の意図を察する思いやりに通じるかもしれない。
意識レベルの高い人類社会にあっては、無形の共利共生こそ、大切なのである。
 
 
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